俺様同期の溺愛が誰にも止められない
「碧」

出来ることならすぐにでも逃げだしたいと思いながら身動きできず、私は影井の言葉に返事もできず固まったままでいた。

「なあ碧」

しびれを切らした影井は、私の顎に手を当て上を向かせると少しだけ距離を詰めて視線を合わせてくる。

「何?」

影井の顔を見れば嫌でも昨夜のことを思い出してしまう。
それだけで私の顔は真っ赤だ。

「一緒に朝ごはん食べに行こうか?」
「え?」
どうしての意味を込めて、首を傾げてみる。

「昨日は無理をさせたから、今日くらいはゆっくり休みたいかなと思ったんだが・・・」
「ああ」
と納得してから、また顔が熱くなった。

きっと影井なりに気を使ってくれているのだろう。その気持ちはとってもありがたいけれど、このこそばゆいような恥ずかしさはどうやっても消えない。
どちらかというと話題にしないでもらいたい。

「大丈夫、私が用意するから」

そう言ってベッドから出ようとして、
ドタンッ。
私は床に倒れ込んだ。

「無理するんじゃないよ」

結局駆け寄って来た影井に抱きかかえられ、リビングのソファーまで運ばれてしまった。
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