俺様同期の溺愛が誰にも止められない
いつもならダイニングで食べる朝食が、今日はリビングのテーブルの上に用意されている。
メニューはトーストと目玉焼きとソーセージ。後は買い置きしていたヨーグルトとトマトジュース。
決してご馳走ではないけれど、影井が私のため用意してくれたものだ。

「ごめんね」
自分のために働かせていることが心苦しい気がして口にしたのに、
ムギュッ。
影井はいきなり私の鼻をつまんできた。

「痛っい、何するのよ」
「謝るんじゃないよ。こういう時は、ありがとうって言うんだ」
「・・・そうね」

頭では理解していながらも、この状況になかなか心が追い付かない。

「コーヒー飲むだろ?」
「ええ」

キッチンまでコーヒーを淹れに行く影井を見ながら、今までとは違う空気を感じていた。
お客さんのようで仮住まいのようだったこのマンションが、少しだけ自分の家に思えてきた。
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