俺様同期の溺愛が誰にも止められない
この日から、女性スタッフ達の態度が明らかに変わった。
私は学生時代からどちらかというと虐められるキャラだったし、そのことに慣れてもいるつもりでもいる。
自分が我慢していればいいと思ってもいた。
しかし・・・

「碧先生、今日退院の患者さんの処方が出ていないようだけれど?」
「ああ、すみません」

高杉先生に言われ慌てて指示を出す。
でも、これは研修医に口頭で指示をしてあった。
ただ単に忘れたのかわざとかはわからないが、伝わっていないのなら私の責任でもある。
悔しいけれど、影井と私が付き合っているとの噂が広まったことで私は女性スタッフの多くを敵に回した。
私のように平凡でとりえのない女が影井の隣りにいることが面白くないと思う人が大勢いるらしい。
予想していたこととは言え、思いのほか大きな反響に私も戸惑っている。

「お疲れ様です」
「あ、影井先生」

落ち込んでいたタイミングで聞こえてきた影井の声と周囲の反応に、私は振り返って声の主を見た。
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