俺様同期の溺愛が誰にも止められない

医者という職業には、知識はもちろん患者やスタッフとのコミュニケーションの能力や心の強さなど色々な資質が求められる。
何しろ人の命を預かる仕事だし、『先生』と呼ばれるからには色々なしがらみや誘惑もある。
時には自分の利益だけを言っていられない状況にだって出くわす。

「本当にどうしたんだよ。具合が悪いのか？それなら」
「違うわよ、とっても元気」
話しが思わぬ方向に行きそうで、被せ気味に遮った。

ちゃんと否定しておかないと、このまま病院へ連れ戻されそうで怖い。

「じゃあ何だ？」
運転中の為視線は前を見たままだけれど、声は私に向かっている。

「たいした話ではないんだけれど・・・」

どうせこのまま黙っていてもいつか素晴のバレそうで、私は渋々話すことにした。