俺様同期の溺愛が誰にも止められない
「そう言えば、来週から循環器に新しい医者が来るって聞いているか?」
「ええ、東京の医大を出てアメリカ留学していた女の子が来るって聞いたわ」

随分優秀で出身大学でも手放したくないって引き留められたそうだけど、うちでの勤務を希望したらしい。
私はまだ会っていないけれど、優紀に負けないくらいスタイルのいい美人だって姿を見かけたスタッフが噂していた。

「何で素晴が知っているの?」
「実は実家が近所で幼馴染なんだ」
「へー、そうなの」
「わがままな奴だけれど、仲良くしてやってくれ」
「うん、わかったわ」

何でもないように返事をしたけれど、私の心がチクリと痛んだ。
この痛みの正体が何かわからないまま、車はマンションへと向かって行った。
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