俺様同期の溺愛が誰にも止められない

小さな島から大阪に出て、まず驚いたのが人の多さ。
島の人は誰もが知り合いだったし、みんな優しかった。でも都会には大勢人がいて、挨拶をしても不思議そうに見られるだけで返事だって返ってくることがない。
一応頭ではわかっていた現実ではあっても、初めて目の当たりにした私はカルチャーショックを受けた。
ただでさえあまり話す方ではなかったのに、益々おとなしくなってしまい内にこもるようにもなった。
そんな時に唯一声をかけてくれたのが大学の先輩だった飯島先生で、自分の所属するサークルにも誘って常に気にかけてくれた。
飯島先生がいてくれたから私は大学生活に馴染むことができたし、今日までやって来ることができたのだと思う。

「いくら好きだからって、不倫はダメだぞ」
『わかっているわよ』
どこからか聞こえてきた声に、心の中で言い返す。

これは、間違いなく影井の声だ。
わー、夢でまで影井の声を聞くなんて・・・最悪。