俺様同期の溺愛が誰にも止められない
過労からくる体調不良は数日休んでいれば大抵回復する。
予定ではあと2日休むことになっているものの、元気になった私は暇を持て余して家の掃除を始めた。
素晴がいれば「ちゃんと寝ていろ」と言って家事などさせてはもらえないから、いないうちにとエプロンを付けてぞうきんを手にする。

こんなにちゃんと掃除をするのはいつぶりだろう。
一人暮らしのアパートの掃除なんてたかが知れているし、実家の頃は勉強ばかりで家事の手伝いなんてしたことがなかった。

キッチンやお風呂場、ベランダに面した窓ガラスも掃除して、床にはモップをかける。
普段から綺麗好きの素晴がきちんと片づけをしているから、そう時間はかからなかった。

「あー、さっぱりした」

最後にテーブルを拭いて私もソファーに座り込む。
その時、

ガチャッ。
玄関の開く音。

ん?
一瞬空耳かなと思ったけれど、間違いなく近づいてくる足音がする。
私は立ち上がり、リビングの扉を凝視した。
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