俺様同期の溺愛が誰にも止められない
「碧もいい加減バカよね」
「わかっているわよ、そんなこと」

わざわざ言われなくても自分が一番よくわかっている。
逃げ出したってどうにもならないって頭では理解していたけれど、反射的に逃げてしまった。

素晴のマンションを飛び出した私は、たまたま休暇で家にいた優紀の所へやって来た。

「もし私がいなかったらどうするつもりだったの?」
「それは・・・どこか店に入って時間を潰すか、大学の図書館とか」
私にだっていくつか思いつく場所はある。

「そんな所をウロウロしていたなんて影井にバレたら大変よ」
「確かに」
延々とお説教される未来が見えるわ。

「で、この先どうするの?」
「うーん」
「スマホは切ったままでしょ?」
「うん」

今更ながら自分の浅はかさにあきれてしまって、素晴に合わせる顔がないからスマホは切っている。
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