俺様同期の溺愛が誰にも止められない

「おはよう、碧先生」
「おはようございます。ご迷惑かけてすみませんでした」

病棟ですれ違うスタッフ一人一人に頭を下げ、私の勤務が始まった。
幸いなことに誰も嫌な顔をする人はいなくて、拍子抜けするくらいスムーズに職場復帰できた。

「お帰り、碧先生」
「高杉先生。いろいろとご迷惑をかけてすみませんでした」

医局で一緒になった高杉先生にも、立ち上がって頭を下げた。
優紀の話によると、私の受け持ち患者を引き継いだり予定されていた当直を変わってくれたのは高杉先生だったらしい。
高杉先生が私の勤務をファローしてくれたおかげで、何とか回ったのだと聞いた。

「いいんだよ、お互い様だしね。それより、影井先生と何かあった？」
「え？」
あまりにもピンポイントに聞かれ、口を開けたまま動きが止まった。

「ふーん、図星か」
私の反応を肯定と理解したらしい高杉先生はなぜか楽しそうに笑い出した。