俺様同期の溺愛が誰にも止められない
俺の母さんは普段東京に住んでいる。
父さんの経営する病院が東京にあるため、当然自宅も東京にある。
ただ父さんは仕事で忙しいし、子育ても終わり親の介護もないためによく出歩いているようだ。
友人と海外へ行ったり、オペラやミュージカルの鑑賞など結構忙しそうにしている。
そして、俺や姉さんを尋ねて時々大阪にもやって来る。

「あなたいつから家政婦さんを雇ったの?教えてくれないとびっくりするじゃないの」

え、家政婦?
電話に出た瞬間にまくしたてられ、俺は返答に詰まった。

「ずいぶんきれいに掃除してあったけれど、食事の支度は全然だったから、しておいたわね」

えっと、どういう意味だ?
今日、マンションには碧がいたはずで・・・

「母さん、マンションに来たの?」
「ええ、恵梨香と観劇に行く約束があって大阪に来たついでにね」
「へー、それでうちに来て誰かに会った?」
「だから、家政婦さんがいたわ。ずいぶん慣れた様子だったけれど、知り合いなの?」
「あ、ああー。そうなんだ」

一体どこをどう間違えればそういう話になるんだ?
碧が家政婦だって嘘をついたってことか?
咄嗟に理解できない俺は、とりあえず曖昧な返事をして母さんからの電話を切った。
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