俺様同期の溺愛が誰にも止められない
「随分難しい顔をしているね」

食後のコーヒーを飲み終えた時、背後から声をかけたれた。
すぐに振り向いたものの、相手が誰なのかは声だけで分かった。

「先生も休憩ですか?」

俺の前に現れたのは循環器科の高杉先生。
正直あまり会いたくない相手だ。

「いや、君を探していたところだ」
「へえー」
なんだかすごく嫌な予感がして、愛想のない返事になった。

ククク。
俺の反応を見て、高杉先生は楽しそうに笑い出した。

「何ですか?」
さすがに失礼だろうとムッとしてしまう。

「いや、随分とオンオフがはっきりしているんだなと思ってね」
「先生も人のことは言えないんじゃありませんか」
「ククク、確かにそうだね」

俺は目の前の人物があまり得意ではない。
決して嫌いなわけでもないが、一緒にいるとペースを乱されるようで苦手だ。
それはきっと、自分に似ているからだろうと思っている。
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