俺様同期の溺愛が誰にも止められない
「さっき恵梨香から連絡があったんだが」
「ええ、僕は母から電話がありました」
だから何も言わないでくださいの意味を込めて視線を外した。

恵梨香とは旧姓影井恵梨香、俺の姉さんだ。
そして姉さんが結婚した相手が、目の前にいる高杉先生だった。

「碧先生のこと、話していなかったんだな」
「ええ、まだその段階ではないと思ったので」

もちろんゆくゆくは両親にだって紹介するつもりでいたし、決して隠していたわけではない。
ただ、27にもなった大人が彼女と同棲していますなんて報告をいちいち親にするのもおかしい気がして言わなかっただけだ。

「高杉先生こそ、姉さんに言ってなかったんですか？」

高杉先生は俺と碧のことを知っているわけで、そのうち姉さんや母さんにも伝わるんじゃないかと思っていた。

「言わないよ、弟の恋愛を暴露して何が面白いんだ」
「確かに」

やはり高杉先生は俺と考え方が似ている。
だからこそ、手の内を見透かされるようで苦手だ。
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