俺様同期の溺愛が誰にも止められない
電気も空調も消えた広い室内。
真夏だけに空気は熱を帯びていて、むっとした暑さもある。
すぐにエアコンを入れようかなぁと思ったけれど、まずは空気を入れ替えたくてベランダへつながる窓を開けた。
子供の頃、私が住む島ではエアコンなんてほぼ使わなかった。窓を開ければ心地の良い潮風が入ってきたし、吹き抜ける風はいつも爽やかだった。
懐かしいなぁ。
都会での暮らしにずいぶん慣れたつもりだけれど、やはり自然の風は心地いい。
そういえば、今年の帰省をキャンセルした私にそろそろ帰ってきてほしいと地元からの連絡が来ていた。
本当はあと数年こっちに残っていたかったけれど、お金を出してもらっている手前あまりわがままも言えないし、私も都会の暮らしに少し疲れている。
正直、今が潮時なのかもしれない。
素晴の事は大好きだし今の暮らしに不満もないけれど、私が住む場所はここではない気もする。
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