俺様同期の溺愛が誰にも止められない
素晴が帰ってくるまでの間に、私は夕食の用意をした。
メニューはスーパーで安く買ったお魚を漬けにした漬丼と素晴の好きな潮汁。
おかずは冷蔵庫に保存してあった惣菜を並べて結構賑やかな食卓になった。
この惣菜はきっとお母様が用意してくれたものだろう。
これが素晴にとってのおふくろの味。そう思って、私もつい手を伸ばした。

「うん、おいしい」

上品で出汁の効いた煮物や香辛料の効いたお肉は、どれも私には出せない味だ。
こんな料理1つとっても私たちは違う。
やはり私は、このマンションにいるべきではないのかもしれない。

ブッブー。
ん?
病院からの着信。

どうしたんだろう?
もしかして受け持ち患者の急変かしらと、私は通話ボタンを押した。
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