俺様同期の溺愛が誰にも止められない

「もしもし、碧先生？」
「はい」

聞こえてきたのは高杉先生の声。
珍しく余裕のない様子に不安を感じながら、私は次の言葉を待った。

「落ち着いて聞いてね。影井先生が事故に巻き込まれて」
「え？」

嘘、やだ、信じられない。
一瞬のうちに頭の中を不安が飛び交った。
素晴はいつも元気でタフで、勝手に不死身なんだと思っていた。
素晴が倒れたり怪我をするなんて想像もしていないし、いなくなるなんて思ったこともない。

「嘘、ですよね？」
無意識のうちにこぼれた言葉。

医者として色々な場面に出くわしてきたはずなのに、いざ自分のことになるとこんなにも動揺するのかと我ながら呆れる。
それでもガタガタと震える手でスマホを握り、私は高杉先生の返事を待つことしかできなかった。