俺様同期の溺愛が誰にも止められない
「影井、あの」

ごめんなさいなんて言葉で済むはずもないけれど、とにかく謝ろうと口を開いた。
それなのに、聞こえてきたのは嫌味な言葉。

「大体さあ、お前本当に医者か?あれだけ酔っぱらった状態で走り出せば倒れるって、わかりそうなことだぞ」
「それは・・・」

私だってちゃんと考えればわかったはず。
でも、あの時は冷静な判断をする余裕がなかった。

「たとえ医者でなかったとしても、まともな大人ならわかるはずだ。違うか?」
「違い、ません」
もう言い返す言葉がない。

「ったく、お前はいくつだよ」
「27歳」
「わかっているよそんなことっ」
とうとう影井が怒鳴ってしまった。

本当に、私は人を怒らせる才能があるのだと思う。
自分では悪気なくまじめに言っている言葉が相手にはふざけているように聞こえるらしく、学生時代からよく怒られてきた。

「子供じゃないんだから、しっかりしろっ」
「はい」
確かにその通りです。

完全に劣勢の私は、しおらしく下を向くことしかできなかった。
そして、下を向いたから気が付いた。
『う、嘘』
私今着ているのは男性物のTシャツとハーフパンツ。
その下には、下着をつけていない。
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