俺様同期の溺愛が誰にも止められない
久しぶりに私が帰省したと聞きつけた地元の人が代わる代わるやって来て、慌ただしく時間が過ぎた。
やっと息が着けた時には夕刻になっていて、私は素晴と海岸へ出た。

「いいところだな」
「ええ」

ゆっくりと沈んでいく夕日も聞こえてくる波音も、何一つ昔と変わらない。
小さな頃はよく父さんとこうして波打ち際に座っていた。

「お父さんは海が好きな方だったんだよな?」
「うん」

魚釣りをしたり潜ったり時には船でクルージングをしたりと、島での時間を楽しんでいるようだった。
病気で若くして亡くなったことはかわいそうだったけれど、幸せな人生だったのではないかなと思う。

「俺も好きだ」
「そう、だよね」

サーフィンが趣味の素晴だから、ここはきっと気にいるだろうと思った。

「私もここが好き」

義務感でも使命感でもなく、私はこの島が好きだ。
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