俺様同期の溺愛が誰にも止められない
お日様に照らされ熱を持ったままの砂に腰を下ろしたまま、足だけが波に洗われる。
時折海風が頬にあたり、潮の香りが鼻をくすぐる。
私は隣に座る素晴の手を握ったまま、夕陽を見続けていた。

「私、ここに戻るわ」
急に思い立って口にした。

誰に急かされたわけでも勧められたわけでもないけれど、それが私の運命のように感じた。
先のことなんてわからないけれど、島に戻って診療所を復活させるべきだと思えた。

「決めたんだな」
「うん」

予想通り、素晴は反対しなかった。

「ごめんね」
「バカ、何で謝るんだ」
「だって・・・」

せっかく思いが通じたのに、別れるのはやはり寂しい。

「毎日電話するし、休みは一緒に過ごそう。碧がこっちに戻っても、俺たちの関係は変わらない」
「うん、そうね」

フフフ。
そんなの無理だよと思っていても言えなくて、私は笑顔になった。
きっと素晴との関係は終わってしまう。
それでも、今一緒にいられることが幸せだと私は感じていた。
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