俺様同期の溺愛が誰にも止められない
それから2年。

「碧、今日はいい波が来てるからちょっと出てくるよ」
「うん、気を付けてね」

夕方仕事を切り上げると、診療所前の海でサーフィンをするのが素晴の日課。
そして私はその間に夕食の支度をする。


「碧、顔色が悪いわね」
「そう?ちょっと疲れたのかなあ」

一緒に台所に立った母さんに言われ笑ってごまかしたけれど、実は体調が良くない。
10日ほど前から胃がムカムカして倦怠感もあり、少し熱っぽい。
でもこの症状には心当たりがある。

「無理しないでよ、もうすぐ引っ越しでしょ?」
「わかっているわ」

元々2年の予定で島にやって来た素晴の任期が来月で終わる。
その間に診療所の公立化を完成させ、本土からの医師派遣体制も整えてくれた。
おかげで素晴や私がいなくても診療所は回るようになった。
そして、来月素晴が島を離れるのと一緒に、私も東京に引っ越す決心をしたのだ。
もちろんそれは結婚のためで、私は影井碧として影井記念病院本院に勤務することになっている。
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