俺様同期の溺愛が誰にも止められない
「何で?」
不思議なくらい冷静に、私は影井に聞いていた。

私だって、今までキスの経験がない訳ではない。
恥ずかしながらその先はないけれど、知識としては知っている。
でも、今は私も影井も素面の状態でキスをする理由がない。

「お仕置だ」
「お仕置?」
益々意味が分からない。

「これに懲りたら前後不覚になるほど酔っぱらうなって教訓だ」
「そんなあ・・・」

これってある種の嫌がらせだと思う。
そんな事を影井に言われる筋合いはないと言い返してやりたかったけれど、できなかった。
いつもより真剣な顔で私を見下ろす影井は整った顔立ち故に凄味があって、私は完全に負けてしまった。
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