俺様同期の溺愛が誰にも止められない
「すっきりしたわ、ありがとう」

歯磨きを終え満面の笑顔で戻ってきた彼女は、自分がスッピンだってことに気が付いているのだろうか。
無防備な素顔を見られることよりも歯磨きをしてすっきりできたことに喜ぶ姿が無性にかわいい。

「コンビニのバイトの後当直をして、明日はそのまま日勤だろ?」
「ええ」
「一体いつ休むつもりだ?」

俺達みたいな若手はただでさえいいように使われる傾向にある。
そこを上手に調整しないと心も体も一杯一杯になってしまう。
こいつはそこのところがわかっていない。

「急患や急変がなければ仮眠が取れるはずだから・・・」
言いながらも小さくなっていく声。

「とれるかどうかもわからない仮眠をあてにしてどうするんだ。バカじゃないんだから、ちゃんと頭で考えろよ」

きっと、彼女自身もかなり希望的観測なのだとわかっているはず。
まるで上司の説教のようだが、さすがに言わずにいられなかった。
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