俺様同期の溺愛が誰にも止められない
「ねえ影井」
「ん、なんだ？」
「私がここに泊まったことは内緒にしてね」

お願いと、彼女が手を合わせて見つめている。
その眼差しは真っすぐで、初めて出会った頃から何も変わらない。
そんな彼女に、俺は恋をした。
だからと言って飯島先輩のようにただ優しく接することはできなくて、あくまでも彼女とはライバルでいたかった。
一緒に同じものを目指し共に歩いていける対等な関係でいたいと願っているからこそ厳しいことも言うし、彼女の有能さと正直な人間性を信用してもいる。
ただ、今の彼女に俺の気持ちは伝わっていないのだろうな。

「俺のマンションに泊まることの何が問題なんだ？」

俺には今付き合っている人はいないし、彼女にもいないはずだ。
もちろん本人に確認したことではないので絶対とは言えないが、俺の知る限り彼女に男の影はない。
もしあったとしても、譲るつもりは無いが。
飯島先輩は彼女にとって心のよりどころだったし、悔しいけれど先輩がいなかったら彼女の心は折れて医者にだってなれなかっただろう。
それに、飯島先輩自身が彼女のことを後輩の1人としか思っていないとわかっていたから、俺も黙認してきた。
でも、これからはもう遠慮するつもりは無い。
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