俺様同期の溺愛が誰にも止められない
「荷物は地下に専用のトランクルームがあるから入れておけばいい」
「うん、ありがとう」

この時、私は初めて影井が神に見えた。
いつも毒舌で意地悪ばかりと文句を言っていたけれど、やっぱりこんな時に頼れるのは同期の仲間だ。

「で、お前は奥のゲストルームを使ってくれ」
「は?」

えっと、今すごく変な言葉を聞いた気がするんだけれど。
私が、奥のゲストルームを、使う?
それは・・・

「私が、ここに、住むの?」
「ああ、ここなら病院にも近いし、部屋は余っているし、家賃をもらうつもりもない。最高の物件だろ?」

当然の事のように影井は言うけれど、違うから。
影井のマンションにお世話になるなんて絶対にありえない。
毎日馬鹿にされて過ごすのが目に見える。

「ねえ、何で影井は私がアパートを出ないといけないてって知っているの?」
色々と頭の中で整理していて、思い浮かんだ疑問をぶつけてみた。

アパートの話はまだ優紀にしか話したことがない。
優紀が人に話すとは思えないから、どうやって知ったのかが不思議で仕方ない。

「たまたま耳に入ったんだよ」
「ふーん」

私を敵視している影井のことだから、良い弱点を見つけたとでも思ったのだろうか。
そうだとしたらすごく気分悪いな。
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