俺様同期の溺愛が誰にも止められない
「いくら同期だからって、そういう個人的なことにまで口を出さないで欲しいわ。もし耳に入ったとしても聞き流してほしかった」

同期だからこそ、知られたくないことだってある。
それは同期だからってことではなくて、相手が影井だからだとも思う。

「じゃあ、たとえ共に切磋琢磨し学んできた同期と街で会っても、声もかけず知らないふりをしたらいいのか？」
「そういう意味ではないでしょ。仲間なんだから、名前や誕生日や血液型、趣味や出身地みたいな一般的なことは知っていて当然と思う。でも、その人の個人的な事情にまで踏み込んでほしくはない」
「へー、そうか」
顔をしかめた影井は急に黙り込んで席を立った。

「ごめん、気分を悪くした？」
あきらかに怒ったように見える影井に声をかける。

考えてみれば、酔っぱらったところを介抱して泊めてもらい、荷物を預かってもらったうえでこんなに美味しい食事までごちそうになっておいて態度が悪かったなと反省した。
影井の意地悪な態度や物言いには文句もあるけれど、美味しい夕食をごちそうになったからには最低限の礼節は保つべきだったと思えた。

「とりあえずデザートにしよう」
「う、うん」
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