俺様同期の溺愛が誰にも止められない
「もともと大学を卒業して研修医が終われば東京に戻って来いって言われていたんだ」
「影井の実家って東京だったわね」
「ああ、曾爺さんから３代続いた循環器科の医院をやっている」
「へえー、じゃあなんで影井は救命に行ったの？」

大学の同期にも実家が開業医って子は多かった。
みんな当然のように実家の跡を継ぐために専門科を選んでいたのに、影井はなぜ循環器科に行かなかったんだろう？

「俺は、できることならこのまま大学に残りたい。だから実家には帰りたくないんだ」
「でもそれじゃあ」

実家も跡を継ぐ人がいなければ困ってしまうはず。

「姉さんの旦那さんが医者だから養子に入るって話もあって、俺としてはそれを望んでいる」
「影井も、大変なのね」

仕送りもあってお金に苦労する必要のないかわりに色んなしがらみがあるのねと、妙に納得してしまった。

「だから、水野に協力してほしいんだ」
「私？」
いきなり話がふられ、私は自分を指さしてした。
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