俺様同期の溺愛が誰にも止められない
「ご両親にそう説明すればいいでしょ?」
それですべてが解決だと思うけれど。

「そう、簡単な話ではないんだ」

珍しい。
モテモテの影井が好きだって告白すれば大抵の人はOKすると思うけれど。

「もしかして、片思いとか?」

らしくないなと思いながらも聞いてみると、影井はすんなりうなずいた。

「もちろんこのまま終わるつもりはない。近いうちに必ず落としてみせる。ただ、そのためにはもう少しだけ時間が欲しいんだ」
「だから私に代役になれってこと?」
「まあ、そうだな」

おおよその話は見えたけれど、私がかかわることで話がこじれそうな気がするのは私だけだろうか?
それでも、影井の表情からは苦悩の色が感じられて拒否することはできなかった。

「アパートが見つかるまでの数か月間でいいのね?」
「ああ、それでいい」

迷う気持ちはあるが、住む所がなくて困っていたのも事実だし、長い時間を共に過ごした同期のくせに誕生日だってことにも気づかずお祝いの食事をごちそうになった後ろめたさもあって了承してしまった。

「じゃあ、よろしく頼むな」
「う、うん」

嬉しそうに笑う影井と握手を交わしながら、私は少しだけ不安を感じていた。
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