俺様同期の溺愛が誰にも止められない
今私の左隣の席に座っているのは、大学の同期で同じ病院に勤める影井素晴(かげいすばる)。27歳の救命医。
元々、この影井素晴と私は馬が合わない。
私は別に何とも思っていないのだけれど、彼は学生時代から私をライバルと認識しているようだった。
ライバルとは言っても、対等に競い合えるのはペーパーテストの成績だけ。
不器用で実習の成績が最下位だった私が総合成績で敵うはずもなのに、事あるごとに私に突っかかってくる。
嫌味を言ったり、意地悪な態度をとったり、いい加減放っておいてくれればいいのにと思うが影井にはそれができないらしい。
正直、私と影井は犬猿の仲だ。

「水野1人来なかったからって、誰も気づかないさ」

うっ。
本当に意地悪な奴。
『どうせ私は、居ても居なくても一緒な人間ですよ』
本当は面と向かってそう叫びたいところだけれど、それができないのが私の性格。
手にしていたグラスに注がれていたシャンパンをゴクリと飲み込んで、私はフーッと息をついた。
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