俺様同期の溺愛が誰にも止められない
「で、水野先生の彼がどうしたって?」

何だろうこの人。
私はまだ名乗ってもいないのに、図々しい。

「やめてください、高杉先生」
私は少し体を引いて距離をとった。

「ごめんごめん、なんだか楽しそうな話が聞こえてきたものだからつい」
「楽しいなんて・・・」

こっちは本気で困っているのに、面白がらないで欲しい。
そんな思いから私は少しムッとした。

「高杉先生、彼女は内気でシャイなんですからからかわないでください」
「そうかなあ、内気な子が男の子と同棲なんて考えるか?結構大胆だと思うけれど」
「もう、高杉先生」

優紀と高杉先生の掛け合いを聞きながら、結局すべて聞かれていたんだと私は肩を落とした。
たとえ聞こえていても、そのまま聞き流してくれなかった高杉先生に文句を言いたい気持ちはある。
でも、聞こえるような場所で話していたのは私達で、その責任はある。
結局私は何も言えなくなった。
そしてこの人が話をさらに複雑にしていくんだと、この時の私にはわかっていなかった。
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