俺様同期の溺愛が誰にも止められない
「ねえ、どういうこと?」

半個室に区切られたスペースの一つで大きなテーブルを一緒に囲む高杉先生を見ながら、優紀に声をかけた。

「早く病院に馴染みたくて、若手の飲み会に参加したいんですって」
「でも今日は・・・」

科の飲み会ならともかく、今日は大学の同期会。
そんな所に参加したって楽しいとは思えないけれど。

「いいじゃないの。この店だって高杉先生の伝手で予約できたのよ」

確かに、メディアでも取り上げられているこの店はなかなか予約が取れないって聞くから、私も一度来てみたいなと思っていた。
石焼きの窯で焼き上げたピザも、自家製のパスタも、手作りのデザートも楽しみでしかないけれど、高杉先生と一緒ってところが私には引っかかっている。

「碧先生、今日は一緒に飲もう」
「ええ、そうですね」

凄いな、いつの間にか名前呼びになっている。
正直、グングンと距離を詰めてくる人が得意ではないけれど、高杉先生自体が嫌いなわけでもないし早く周囲に打ち解けたい気持ちだって理解はできる。
だから、私はうなずいて席に着いた。
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