俺様同期の溺愛が誰にも止められない
「「カンパーイ」」

予定の七時ちょうどに始まった飲み会。
影井や数人のメンバーは遅れているものの、男女5人づつの同期と高杉先生を含む職場の友人達。全部で十人ちょっとの飲み会はそれなりに盛り上がっていた。

評判通りお料理もおいしいし、高杉先生もいい感じで場を盛り上げてくれて、私にとっても居心地のいい飲み会。
そんな中で私が存在を忘れそうになっていたその時、影井が現れた。

「お疲れ様」
「先に始めていたぞ」

姿を見つけた同期が声をかけると、影井はテーブルをぐるりと見渡した後私の隣りの席を見た。

「影井先生、こっちどうぞ」
「あ、はい」

一瞬隣の席に来るのかなと思っていると絶妙なタイミングで高杉先生の声がかかり、促されるように私の向かい側の席へと向かった。

「遅かったのね」
「ああ、急患で抜けられなかったんだ」
隣に座った優紀といつものように話す影井。
これがいつもの風景で、今までたとえ飲み会の時でも私と影井が直接会話することは多くなかった。
そんな私たちが同居をしているなんて知ったらみんな驚くだろうな。
フフフ。
想像するとちょっと面白い。

「どうしたの、ずいぶん楽しそうだね」
いつの間にか隣の席に高杉先生が移って来ていた。

「楽しいですよ、同期会って久しぶりですから」
「そうなんだ、てっきり彼が来たからかと思ったよ」
「え?」

意味ありげに影井を見る高杉先生のいたずらっぽい笑顔。
どうやら私の同居相手が影井だと気が付いているらしい。
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