俺様同期の溺愛が誰にも止められない
「そうだ、そんな碧先生に提案があるんだ」
「な、何ですか?」
この話の流れで提案なんて言われるとつい身構えてしまう。

「僕は昨年末に結婚したんだけれど家内の実家がお金持ちでね、大阪市内にマンションを持っていて家内もその一つを使っていたんだよ。ただ、結婚して僕のマンションに越してきたから部屋が余っているんだ。よかったら君、そこに住まないかい?」
「いや、でも・・・」
「まだ家内の荷物も残っているんだが部屋は余っているし、持ち家だから家賃もいらない」
「そんなことできませんよ」

知り合って数週間しかたたない私が高杉先生の奥さんのマンションに住むなんて、できるわけがない。

「どうして?恋愛感情もない同期の部屋には住めて、奥さんの余った部屋には住めないの?」
「それは・・・」

きっと、付き合ってもいない影井のマンションに同居を決めた私の行動は非常識だと言われているのだろうと感じた。
叱られるとまではいかないけれど、少しだけお説教された気分になって私は下を向いた。
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