俺様同期の溺愛が誰にも止められない
「ちょっと碧、大丈夫?」

しばらくして、友人達と話し込んでいた優紀が隣の席に戻ってきた。

「平気」
って、本当は嘘。
結構お酒が回っていて、今目を閉じれば瞬時に眠ってしまいそう。

「昨日当直で眠っていないんでしょ?無理したらダメよ」
「うん、わかってる」

自分でも不器用で損な性格だと自覚はある。
昨日の夜だって同僚から急に当直を代わってほしいと言われ、断れなくて代わってしまった。
もちろん急患がなくて落ち着いていれば問題ないかなと思ってのことだったけれど、昨夜に限って急変と急患の連続。何度も救急に呼ばれ、病棟でも急変の対応に追われ、まったく眠ることができなかった。

「影井じゃないけれど、無理して来なくてもよかったんじゃないの?」
「もう、優紀までそんなこと言わないでよ」

今無理してここにいるのは自分でもわかっている。
こんな絶不調の状態でお酒の席になんて来るべきでないとも思う。
それでも、今日は自分の気持ちにけじめをつけるつもりでここに来た。
どうしても来なくてはいけないと思ったのよ。
< 8 / 198 >

この作品をシェア

pagetop