俺様同期の溺愛が誰にも止められない
「なあ、教えてくれ。お前はなんで俺との同居を了承してくれたんだ?」

真っすぐに私を見つめる影井の顔は真剣だけれど険しくはなくて、少し寂しそう。
私はなぜ今そんな顔をするのだろうかと、不思議だった。

「俺に脅されて仕方なく一緒に暮らすことにしたのか?」
「そうではないわ。もちろん多少強引に誘ってもらったから決心がついたのもあるけれど、私自身が望んだことよ」

今回のことを誰の責任にするつもりもない。
私は自分の意志で決めて影井のマンションに来たんだから。

「住む所がなくて困っていた時にたまたま誘われたから、だからうちに来たのか?」
「それはそうだけれど・・・」

だからといって、誰の家でもよかったわけではない。
影井のことを信用できると思ったからだし、一緒に住んでみて嫌だと感じていなから一カ月以上たっても一緒にいられる。
でも待って、私にはふと疑問がわいてきた。

「影井はなぜ私をここに置いてくれるの?」

東京の実家に帰りたくないから付き合っている人がいると言ったとしとても一緒に住む必要はないし、影井は人気があるからその気になれば彼女役を買って出る子はたくさんいるはず。
そう考えれば、私との同居を提案したことには違和感がある。

「それは・・・好きだから」
「は?」

一瞬空耳を聞いた気がして、私は動けなくなった。
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