俺様同期の溺愛が誰にも止められない
私は頭のてっぺんから何かが落ちてきたような衝撃を感じた。
それまで冗談だよねと笑い飛ばしていた影井の言葉が腑に落ちた瞬間、今度は猛烈に頬が熱くなった。

「まだ、信じられないか?」
「ううん」
静かに首を振った。

この期に及んで逃げるつもりは無い。
きっと、これが影井の本心なんだ。

ギュッ。
えっ。

並んで座っていたはずの影井に抱きしめられ、身動きができない。

「もう、遠慮はしない」

耳元でささやかれる言葉にゾクゾクしながらゴクリと息をのむと、フッとシムスクの香りがした。
その香りに惑わされるように全身から力が抜けていき、気が付いたら私は陰井に身を預けていた。
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