俺様同期の溺愛が誰にも止められない
「それにしても、まさかあの二人が結婚するなんてびっくりだわ」
「ええ、そうね」

新婦の茉子さんは私や飯島先生が勤務する内科病棟の看護師だった。
いつもニコニコと笑顔を絶やさないから患者さんにもスタッフにも人気があり、私も休憩時間にはよく話した。
しかし、その彼女がまさか飯島先生と結婚するとは想像もしていなかった。

「もったいないわね、いい看護師だったのに」
つぶやくように出た優紀の言葉は、医師としてのものだろう。

私だって同じ病棟に勤務する医師として彼女のような人が辞めていくことは残念だなと思う。
しかし、女性としてはうらやましい気持ちしかない。
私だって、飯島先生が好きだったのに・・・

「おーい水野、こっちに来い」
新郎である飯島先生を囲む集団の方から、私を呼ぶ声が聞こえた。
どうやら大学のサークル仲間たちが飯島先生を囲んで記念写真を撮ろうとしているようだ。

「私はもう、ここでいいよ」
かなりお酒も回っていて動きたくないからと、手と首を振って見たけれど、
「いいからこっちに来いよ」
何度も呼ばれ、私はパーティー会場の中央へ進み出るしかなくなった。
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