片思いの相手に偽装彼女を頼まれまして
『本当にごめん、明日はどうしても外せない用事があるの』
『それってプロポーズより大切なんですか?』
後輩の身勝手な要求など突っぱねてしまえばいいものの、プロポーズを引き合いに出されると罪悪感が生まれる。後輩だけでなく相手も色々支度しているに違いないし。
『先輩はアタシが不幸になってもいいんですね?』
『やっと出来た後輩だってみんなに言っているくせに』
『アタシの彼だって先輩を理解のある人と褒めてるんです。こんな時にその信頼を裏切らないで下さいよ』
などと強い言葉を重ねられ、どうしたら良いか判断がつかなくなってしまう。
誠との約束は守りたい、それでいて後輩のフォローもしてあげたい。どちらにも良い顔をしたがる自分に嫌気がさすが携帯を握ったまま鞄を見やる。急遽、誠の彼女となる運びだったのでやりかけの資料が入っていた。
アパートに帰り、徹夜で仕上げれば間に合う。
「あれ? プリン食べてないのか?」
誠がお風呂から上がってきた。
「……誠」
「ん? どうした?」
「や、やっぱり帰ろうかなって! 色々考えたんだけど着替え持ってないしさ」
「それは朝早くに茜のアパートへ送っていくって話だったよな?」
『それってプロポーズより大切なんですか?』
後輩の身勝手な要求など突っぱねてしまえばいいものの、プロポーズを引き合いに出されると罪悪感が生まれる。後輩だけでなく相手も色々支度しているに違いないし。
『先輩はアタシが不幸になってもいいんですね?』
『やっと出来た後輩だってみんなに言っているくせに』
『アタシの彼だって先輩を理解のある人と褒めてるんです。こんな時にその信頼を裏切らないで下さいよ』
などと強い言葉を重ねられ、どうしたら良いか判断がつかなくなってしまう。
誠との約束は守りたい、それでいて後輩のフォローもしてあげたい。どちらにも良い顔をしたがる自分に嫌気がさすが携帯を握ったまま鞄を見やる。急遽、誠の彼女となる運びだったのでやりかけの資料が入っていた。
アパートに帰り、徹夜で仕上げれば間に合う。
「あれ? プリン食べてないのか?」
誠がお風呂から上がってきた。
「……誠」
「ん? どうした?」
「や、やっぱり帰ろうかなって! 色々考えたんだけど着替え持ってないしさ」
「それは朝早くに茜のアパートへ送っていくって話だったよな?」