財閥御曹司は最愛の君と極上の愛を奏でる
「信じてもらえないなら、実際に見せてみるしかないかな?ああ、でも。衣都に見られていたら反応してしまうかも……」
とんでもないことを真顔で言うものだから、衣都は慌てふためいた。
貞操を証明するためとはいえ、他の女性とどうこうしているところなんか見たくない。
「見せなくていいです!だ、だだ、大丈夫です!」
「信じてくれるのかい?」
衣都は顔を真っ赤にしながら何度も頷いた。
想像すらしていなかった事実が次々と明らかにされて、胸がいっぱいだった。
「僕の心も身体も全部衣都のものだよ。衣都には責任をとって僕と結婚してもらわないと困るよ」
グイと顎が持ち上げられ、視線が交わる。響の瞳に熱いものが閃く。
「僕から逃げようなんて許さない。どこへ行こうと一生懸けて探してみせる」
未だかつて、これほどの激情に駆られる響を見たことがあっただろうか?
唇が触れ合いそうなほどの距離。
鼻をくすぐる甘いトワレの香りに酔いしれながら、ひたすら見つめ合う。
「……ワルイ男に捕まったと思って諦めて」
響の身の内に巣喰う狂おしいほどの独占欲を見せつけられた衣都は、至極の喜びで満たされていた。