財閥御曹司は最愛の君と極上の愛を奏でる
「欲しいものを……何でも言っていいんですよね?」
抑えられないのは、衣都も同じだった。
「私……響さんが欲しいです。ダメ……ですか?」
「欲がないね、衣都は。わざわざねだらなくたって、僕は君のものだよ」
響は衣都の望みを叶えるべく、柔らかな首筋に唇を這わせた。
胸の谷間に頭を埋めていく響を特等席で眺める優越感に満たされながら、歓喜の声をもらす。
欲がないなんて、美化しすぎだと思う。
(響さんのすべてが欲しい……)
財閥御曹司としての立場を忘れ、ひたすらに自分を求めてもらいたかった。
響にとって最初で最後の女性でありたいと思うのは贅沢なこと?
「衣都、愛してるよ」
「私もです、響さん」
二人はベッドに雪崩れこみ、愛を確かめ合う行為に没頭した。
何かにせき立てられるように何度も身体を重ねた。
とても冷静ではいられなかった。
燻っていた欲望の火はいつまでも消えることがなかった。