可憐なオオカミくん
4
♢
林間学校のねらい。
・野外での活動を通して、自然に親しむ心を育てる。
・集団行動を通して、社会性、協調性を学ぶ。
・友達と協力しながら活動し、生徒同士の中を深める。
入学式後の最初の行事は林間学校。
一泊二日。隣町の自然豊かな環境の中で行われる。
ドキドキ。わたしは楽しみがあると朝早く起きちゃうタイプ。
今日は、5時に自然起床。二度寝なんて出来るはずもなく、寝不足のまま林間学校を迎えた。
「一華! 楽しみだね。林間学校」
「うん。穂乃果ちゃん。同じ班になってくれてありがとうね」
「うん! 一華の騎士は任せて! 私が男子から守ってあげる」
意気込んで言ってくれた穂乃果ちゃん。
仲良くなった彼女には、男性恐怖症のことを説明していた。どんな反応が返ってくるか、おそるおそる話したものの、返ってきたのは優しい反応だった。「なんで早く言ってくれなかったのー。もっと協力できたのにー」そう言って、なんだか悔しそうにするので、すごく心が温かくなった。
林間学校は男女混合で、4~5人で班構成。
避けたくても、男子を避けれない環境だったので、穂乃果ちゃんの存在はとても頼りになる。心の安定剤だった。
「一華、なにかあったら僕に言ってよ?」
「う、うん。ありがとう。葵くん」
そう。葵くんも一緒の班だ。
今日も今日とて、葵くんはかわいい。
少し大きめの運動着。肩まであるサラサラの髪をちょこんと後ろで縛っている。
髪を結んでも、かわいいな。
なんか、今日の葵くん。
かわいいけど、かわいいよりも――。
かっこいい。結んでいるからうなじが見えて、色気を感じる。
って、なに考えているんだろう。わたしは。
頭を左右にぶんぶんと、大きく振って邪な気持ちを搔き消した。
でも、今日はなんでカッコいいと思っちゃうんだろう。じーっと見つめていると、パチッと視線が重なった。
「一華。今日は髪の毛ポニーテールなんだ? かわいい」
「う、うん。たくさん動くと思って。葵くんも……かっ、」
次に喉まで出かかった言葉は「かっこいい」だった。最近、葵くんは可愛いはずなのに、かっこいいと思ってしまうんだ。
「かっ、か、かわいい。ですね、」
「なんで敬語―? あははっ」
口から出た言葉は「かわいい」の方だった。
心の中では、カッコいいと思っているのに。なぜか言葉にするのは難しい。
林間学校のねらい。
・野外での活動を通して、自然に親しむ心を育てる。
・集団行動を通して、社会性、協調性を学ぶ。
・友達と協力しながら活動し、生徒同士の中を深める。
入学式後の最初の行事は林間学校。
一泊二日。隣町の自然豊かな環境の中で行われる。
ドキドキ。わたしは楽しみがあると朝早く起きちゃうタイプ。
今日は、5時に自然起床。二度寝なんて出来るはずもなく、寝不足のまま林間学校を迎えた。
「一華! 楽しみだね。林間学校」
「うん。穂乃果ちゃん。同じ班になってくれてありがとうね」
「うん! 一華の騎士は任せて! 私が男子から守ってあげる」
意気込んで言ってくれた穂乃果ちゃん。
仲良くなった彼女には、男性恐怖症のことを説明していた。どんな反応が返ってくるか、おそるおそる話したものの、返ってきたのは優しい反応だった。「なんで早く言ってくれなかったのー。もっと協力できたのにー」そう言って、なんだか悔しそうにするので、すごく心が温かくなった。
林間学校は男女混合で、4~5人で班構成。
避けたくても、男子を避けれない環境だったので、穂乃果ちゃんの存在はとても頼りになる。心の安定剤だった。
「一華、なにかあったら僕に言ってよ?」
「う、うん。ありがとう。葵くん」
そう。葵くんも一緒の班だ。
今日も今日とて、葵くんはかわいい。
少し大きめの運動着。肩まであるサラサラの髪をちょこんと後ろで縛っている。
髪を結んでも、かわいいな。
なんか、今日の葵くん。
かわいいけど、かわいいよりも――。
かっこいい。結んでいるからうなじが見えて、色気を感じる。
って、なに考えているんだろう。わたしは。
頭を左右にぶんぶんと、大きく振って邪な気持ちを搔き消した。
でも、今日はなんでカッコいいと思っちゃうんだろう。じーっと見つめていると、パチッと視線が重なった。
「一華。今日は髪の毛ポニーテールなんだ? かわいい」
「う、うん。たくさん動くと思って。葵くんも……かっ、」
次に喉まで出かかった言葉は「かっこいい」だった。最近、葵くんは可愛いはずなのに、かっこいいと思ってしまうんだ。
「かっ、か、かわいい。ですね、」
「なんで敬語―? あははっ」
口から出た言葉は「かわいい」の方だった。
心の中では、カッコいいと思っているのに。なぜか言葉にするのは難しい。