つぐむちゃん、口を開けて。

✿✿✿



「……ちづる、くん……、みかん、食べる……?」

「あ、ありがとう……」



 ……。

 ……。

 ベッドから手を伸ばし、地面に転がっていたみかんを拾い上げて甘くなるように揉む。

 ……っ、うぅっ……。

 意識するなって方が無理だ。

 好きって言うよりすごいこと、しちゃったんだ……。


 お互いに真っ赤になって俯く。



「……ごめん、無理させた……よね?」



 でも、千鶴くんの優しさは変わらなくて。

 そっと肩を抱き寄せて、頭を撫でてくれた。


 確か、わたしが『好き』って言えたのは一回だけ。

 千鶴くんは最中も、そうじゃなくても、ずっと言ってくれてる。


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