つぐむちゃん、口を開けて。


 一回言えたんだから、もう一回言えるはず……。


 わたしは決心を固め、千鶴くんの方を向いた。



「ちづっ……る、くん……っ」

「ん?」

「……っ」



 言え……っ、もう恥ずかしいことなんて、ない……っ!



 心臓がバクバク言って、身体中に血液が駆け巡る。

 ぎゅうっと目を瞑って熱を上げるわたしに対して、



「いいよ、つぐむちゃん。言って?」



 暖かな声が包む。

 緊張の糸が、少しだけ解けた。



「…………っちづる、くん……、あのね」



 千鶴くんだけじゃないよ。


 わたしだって、千鶴くんのこと、ずっとずっと、



「好き……」



 ポロリと。



「好き、なんです……」



 ポロポロと。

 抑え込んでいた気持ちが外に出たからか、涙が落ちた。



「嬉しい……俺も、だいすき」



 それは、告白されて頷いたときと同じ言葉。


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