クセのある御曹司を助けたら「運命だ」とか言われました。
……しまった。なんとか誤魔化さなきゃ。『借金がある』なんて、住吉さんに知られるわけにはいかない。
「いや、えっと……」
どう誤魔化そうか悩んでいると運悪く、
「羽賀さん、返済の方はどうですか? また、今月も利息分だけですか? 元金全然減っていないじゃないですか」
消費者金融の人達が2、3人ぞろぞろと店内へ入ってきた。
父と母は瞬時に土下座をし、「必ず返済金額全額を期日までに用意致します。なので、どうかお店だけは……」と訴えている。
その様子を隣で見ていた住吉さんは、私に問いかけた。
「元金って……借金あるの?」
無理だ。この状況では誤魔化せない。
「……はい」
「いくら?」
「500万です……今、利息を返すだけで精一杯で。住吉さん、あと三ヵ月で500万稼げるお仕事ってありますか? 犯罪以外のことだったらなんでもします」
住吉さんは若いといえど、大手不動産会社の財閥御曹司だ。いろんな社長と繋がりがあるかもしれない。
どうしようもできなくて住吉さんに頭を下げてお願いすると、住吉さんは持っていた箸を置きゆっくりと立ち上がった。そして、消費者金融の人達に問いかけた。
「次、いつ来ます?」