クセのある御曹司を助けたら「運命だ」とか言われました。
消費者金融の人達は交互に顔を見合わせた。
「あなた誰です? 警察に通報しても無駄ですよ? 別に取り立てにきてるわけじゃないんですから」
消費者金融の人は住吉さんにそう告げると、住吉さんはコクリと頷いた。
「来月9日のこの時間にまた来ますんで、次回は利息だけじゃなくて、ちったあ返せるように頑張ってくださいね」
そう言い残すと、消費者金融の人はふふんと鼻を鳴らして帰って行った。幸いお客さんは住吉さんだけだったから良かったものの、こんなところを他のお客さんに見られでもしたら悪い噂だけが独り歩きしてしまう。
母と父は肩の荷が降りたように「ハア」と安堵した。
「スミマセンね、こんなところをお見せしてしまって。本当は去年返し終えるお金を今年いっぱいまで待ってもらってまして……」
母は申し訳なさそうに住吉さんに謝罪する。
「そうだったんですね。借金を返すことができなければ、債権者は債務者に対して、裁判で「お金を返せ」と主張することも可能なのでそうなる前に知れて良かったです。お店を経営されている以上、自己破産などは避けていただきたいので」