クセのある御曹司を助けたら「運命だ」とか言われました。



 「知れてよかったです」根拠はないけど、何か意味ありげに納得されたような気がする。


 母と父が不安気な顔を浮かべる隣で、

「自己破産するしかないと思っていたのですが……」

 再び住吉さんになんとか仕事を紹介してほしくて、これでもかと思うほどに食いつく。


「ここは土地場所もいいですし、出してくれた料理も全部美味しいし、なにより安い。でも、看板がこじんまりとしているせいか、一見飲食店だと分かりにくい外観になってましたし、今の世代の人が知ってくださっている人が少ないんだと思います。失礼ですが、お店の宣伝はどうやってされてるんですか? SNS?」

「ホームページと口コミだけの状態なのですが……」


 スマホを取り出しホームページを見てもらうと、住吉さんはホームページ内にあるレビュー一覧に目を通していた。

「高評価が多いのにSNSを使わないのはもったいないですよ。俺、宣伝しますよ。自分で言うのもなんですが、結構影響力あると思うんで」


 住吉さんは笑みを浮かべ、自分のSNSを私たちに見せてきた。フォロワーはなんと50万人超え。アイコンはかわいらしい猫のアイコンだった。プロフィール欄には「不動産会社を経営してます」とだけ書かれてある。


「一枚だけ載せた顔画像が凄い拡散されちゃってさ。そのおかげもあってか、フォロワーが凄いことになってしまって……」

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