クセのある御曹司を助けたら「運命だ」とか言われました。
夜勤明け。銀行のATMで家に振り込んだ後、いつものように母に電話をする。「ありがとうね、いつもごめんね」感謝と謝罪の言葉を同時に口にされ、複雑な気持ちになる。
「返済は大丈夫そうなの?」
電話越しで質問してみると「そうねぇ、まあ、がんばるわね。これ以上穂香に迷惑かけられないしね」と濁されてしまった。
副業は禁止されているけど、そろそろ本気で考えなければいけないのかもしれない。今は6月。残り半年。半年で約500万を稼げる副業なんてあるのだろうか。
母と電話を切り、深くため息を吐きながらゆっくりと自宅までの道を歩いていると、遠くで人が倒れているのを目にした。
「えっ!?」
走って近寄ると、男性が額に汗を流しながら倒れていた。
「大丈夫ですか?」
近寄り意識があるかどうかを確認するが反応がない。
「今救急車呼びますからね」
すぐに119番に電話をし、脈を図る。その後男性はゆっくりと息をし始めたため、男性のベルトやネクタイを緩めた。それから数分後救急車がやってきた。男性はストレッチャーで救急車の中へ運ばれる。私も一緒に乗り込み、状況を救急隊員に伝え、私が勤務している病院まで搬送された。