クセのある御曹司を助けたら「運命だ」とか言われました。
『穂香と出会ってから全部断ってる』は、今までにないくらいに嬉しかった。
「私が澄人さんのところに来るって分かっていないのに……ですか?」
我ながら意地が悪い質問だとは思うが、澄人さんはこうなることが分かっていたような口ぶりだ。
「穂香と出会ったのは『運命』ってずっと信じてたから。王子は絶対運命の相手とくっ付くだろ。言っとくけど、今俺、自分のこと王子って思ってるから」
屈託のない笑みを見せる澄人さん。
澄人さんの前では悩むことが意味のないことのように思えてきてしまう。何より私のことを『お姫様』だと言ってくれたことが嬉しかった。
こういうところ連れて来られているからか、より『そうかもしれない』などと自惚れてしまう。
テーブルに並べられた料理を食べ終えた私達。澄人さんは『じゃあそろそろ移動しようか』と私に呼びかけた。澄人さんにこっちと案内され着いて行った場所はお風呂場だった。白い大理石のような作りの広々としたユニットバスが備え付けられていた。
「外は天然木材仕様の風呂になってるんだよ」
と説明してくれ、外にも温泉が引かれていることを知った。