クセのある御曹司を助けたら「運命だ」とか言われました。
切なそうに話す澄人さん。澄人さんの『信用できるヤツは多くない』が酷く心に刺さる。
私の主観でばかり物事を話していたことに申し訳なさを感じた。澄人さんの気持ちを全然考えれていなかった。
返す言葉を見つけられずにいると澄人さんは言葉を続けた。
「会社もさ、作り上げられた地位に後継者だからっていう理由で居座ってるわけだし。まあ、仕事は楽しいけど。正直言うとさ助けてくれたから『運命』感じたっていうより、『俺だから助けたわけじゃない』って言ってくれたのがグッときてさ。ああ、いいな、素敵だな、この人って思ったんだよ」
「でも、そ、それは職業柄看護師っていうのもあるので」
「そう? こういう職種の人は、巻き込まれたくないとかで極力関わらないって聞くけど?」
……それを言われてしまえば確かにそうだ。
見て見ぬふりをしてしまう人も多いと聞く。澄人さんはやっぱりすごい。本質的なものを見抜く力があるんだなと思った。