BitterなフリしてほんとはSweet【完】
瀧時人side
ああ、もう気が気じゃない。
視界の奥、フラフラと足元が覚束ない様子の彼女を見つめる。
いつからだ?
一体いつから体調が悪かったんだ。
さっき咄嗟に支えたときも尋常じゃなく熱かった。
しかもあんなになるまで我慢するなんて。
もっと早く気づくべきだった。
いや、いくら初の考案キャンペーンだからと言って、残業させすぎた俺の責任だ。もっと早く帰らせるべきだった。
後悔ばかりが募る。
ガチャンーーー
「針間さんっ?!」
大きな音と同時に、
奥の方で女性社員の声が響く。
「どうした!?」
慌てて、駆け寄るが、そこには倒れている彼女の姿があった。
意識がないというわけではないが、思うように身体が動かないようだった。