BitterなフリしてほんとはSweet【完】
息遣いも荒く、足元も覚束ない状態で、三浦さんの手を借りながら車に乗り込む。
さっきから震えてるけど、この車にはブランケットとか何も積んでない。
…今度からきちんと積んでおこう。
「これ羽織って、」
来ているジャケットを彼女に渡す。
…加齢臭してなければいいけど。
「瀧、課長、すみませんっ」
「っ、」
いつもより赤い顔、少し涙目になりながら、俺のことを見上げて、嬉しそうにジャケットを羽織る。
っ、可愛い。
その目に吸い込まれそうになって、体の底から意味のわかならないものが込み上げてくる。
ダメだ、耐えろ。
彼女は部下で、病人だぞ。
感情をなんとか無にして、車を発進させて彼女家に向かう。