BitterなフリしてほんとはSweet【完】
赤信号で止まると、助手席ですやすや眠っているのが目に入る。
…疲れてたんだな。
無防備すぎる寝顔に、ほっとため息をつく。
そんなこんな考えているともう、彼女のマンションの下についていた。
「…針間さん、起きて。」
「んっ、」
…やけに色気のある声を出して、目を開ける彼女。
いつもの大きな瞳とは違い、寝起き特有のとろんとした垂れ目になっているのがまた理性を揺るがす。
とりあえず車を降りて、荷物を持ってあげる。
ずっとぼーっとして動こうとしない彼女。
このまま家の前まで送り届けて大丈夫なものか。
上司と部下、男女である手前、さすがにがっつり支えながら歩くのは気が引けたのて、よちよちと歩く彼女の後ろをいつでも支えれるようにゆっくり歩く。